【センター試験】「選択肢問題で迷った時は③を選べ」が本当なのか検証してみた
冬休みも終わりを告げ、センター試験が目前まで迫ってまいりました。受験生は今まさに最後の追い込みに躍起になっていることでしょう。
さて、皆さんは試験中に全く見当もつかない問題や消去法で切りづらい問題に出くわした際はどの番号をどのように選んでいるでしょうか。第六感を大事にされる方もいれば、鉛筆コロコロやたずね人ステ◯キなどのオカルトめいた物にすがる方も少なからずいらっしゃるかと思います。
私が受験生の頃は
「選択肢で迷ったら③や(ウ)を選べ」
「最後の選択肢の一個手前を選べ」
などとよく耳にしたものですが、もし仮にこれらの助言通り選択肢問題に偏りが存在し予め把握しておけば、一問当たりに費やす時間を大幅に短縮できるかもしれません。
本記事ではそんなセンター試験における選択肢問題の正答番号に偏りがあるのか否かについて取り上げていこうと思います。
年度別
2001年度から2017年度までの過去17回における地歴*1・公民*2・英語*3・国語・理科*4を対象に正答番号を抽出しました。
過去17回で最も正答番号になっているのは③であることが確認できました。実際に2001年から09年のうち8回で③が最多となっています。00年代に大学受験を経た我々からすれば「選択肢問題で迷った時は③を選べ」というアドバイスは正しかったのでしょう。
しかしながら、2010年度から最多の正答番号は③から②へシフトしているのが見て取れます。微々たる差ではありますが、今の受験生に先のアドバイスは当てはまらない可能性が高いのかもしれません。
この統計をもって敢えてアドバイスを送るなら「当てずっぽうで①を選んでもあまり良い結果にはならないかもよ」ぐらいでしょうか。
科目別
次は科目ごとに偏りが存在するのかどうか確認していきましょう。
大まかに分けて3パターン存在します。
一つ目は、年度別で述べた通り最多の③に次いで②、そして①に凹みがあるといったパターン。地歴と理科の発展科目に見られます。
二つ目は、①から④までバランスよく設置されているパターン。公民に顕著で、選択肢の多い理科の基礎科目においてもこちらにカテゴライズしても差し支えなさそうです。
そして三つ目は、③が第一にも第二にもこないパターン。本記事の題名にある助言を鵜呑みにした受験生を泣かせにかかっています。これが見られるのは、あろうことか200点科目である英語(リーディング)と国語です。
地歴
◆世界史
00年代では③が最も多く10年代では②が多い、上記の年度別合計表に最も近い形となっています。7、8年に1回①が最多となっている年がありますが、最多の③と割合にして比べると8.3%もの差がついているため、①に賭けるのは分が悪いかもしれないですね。
◆日本史
③が最多ではあるものの、地歴の中では最もバランスよく正答が配置されています。法則性を見出すのは難しいです。
◆地理
②と③がほぼ同数で1、2年周期で最多が入れ替わっています。①と③の割合の差では世界史には及ばないものの、①が単独で最多となった年が無いのが大きな特徴でしょう。
地理は科目の性質上、歴史2科目で重要視される知識・経験値以上に思考力・洞察力が問われる問題が多いため、①に正答を置くことで選択肢を吟味されずに突破されてしまうのを忌避しているのかもしれません。
公民
4科目総じて言えることですが、ひょっとしたら公民の問題作成者の間では正答番号を極力均等に配置するようにといったガイドラインが存在するのかもしれません。偏りが小さい分、逆にヒントになるなんてことも十分に考えられます。
◆倫理・政治経済
◆政治経済
◆倫理
◆現代社会
英語
◆リーディング
前述した通り主要科目の総計では③が最も多いですが、英語のリーディングにおいてはその限りではありません。00年代では④が、10年代では②が最も多く、直近5回では①も多くなっています。
また連続解答が起こりやすいのもこの科目の特徴で、同じ番号が最大3個連なったのは過去17年で21回。4個連なったのは5回(2002年、2006年、2008年、2010年、2015年)。仮に番号が4つ続いてしまっても疑心暗鬼に陥らず「今年は4連続がある年なんだ~。ハズレ年だわ~」ぐらいの気概で臨んでください。
因みに、5個以上連なったことは過去17年主要科目では1度も起こっていないので、5個同じ番号が続いたら疑ってかかった方が良いかもしれません。
◆リスニング
バランス型と呼ぶにはやや安定性に欠けますが、過去12回の合計においては大きな差はありません。最も多いのが①である点はイレギュラーです。
国語
選択肢をしっかり吟味した上で解答してほしいとの出題側の意図が反映されているのか、後半の選択肢が正答になる傾向が強いです。
最多の正答番号は④。国語は主に五択問題で構成されているため「最後の選択肢の一個手前を選べ」というアドバイスもあながち間違いではないことが確認できました。
理科(発展科目)
4科目とも③が一番多く、次いで②及び④が多くなっています。
物理のエネルギー計算や化学のmol計算、生物のDNA計算などの様な選択肢に数値や数式を与えられている問題において、若い番号からしらみつぶしで逆算を始める受験生をふるいにかける狙いがあるのか、①の正答率は低めとなっています。
◆物理
◆化学
◆生物
◆地学
理科(基礎科目)
基礎科目はサンプル数が少ないため傾向らしい傾向は見出しにくいですが、全体的に散らそうとしているのは見て取れます。
◆物理基礎
◆化学基礎
◆生物基礎
◆地学基礎
◇理科総合A(廃止)
◇理科総合B(廃止)
◇総合理科(廃止)
まとめ
結局「選択肢問題で迷った時は③を選べ」は信じていいの?
科目ごとに差異がありますが、選択肢①を信じるよりは幾分マシといったところでしょうか。割合的には③と②・④にはソーシャルゲームのSSR排出率程度の差しかありません。それを大きいと捉えるか、微々たる差と捉えるかは実際に鉛筆を持つ受験生である皆さん次第です(投げやり)
センター試験は学力と同時に処理能力と決断力が試される場です。今までの努力が実り圧倒的な学力をもって問題をねじ伏せてくれるのが理想ではありますが、もし選択肢問題でつまずいてしまう様なことがありましたら「この科目はこの番号が多いんだっけ」ぐらいな感覚で思い出していただければ幸いです。
受験生の皆さんがこれまで以上に勉強の成果を発揮し、模試、過去問演習以上の得点を叩き出してくださることを陰ながら祈念しております。